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立花宗茂と立花道雪:読了2

立花宗茂と立花道雪/滝口康彦/学陽書房

1 立花宗茂
まずは、宗茂の略歴から―
立花宗茂は、幼名千熊丸。統虎、宗虎、親成、政高、俊正、宗茂と改め、晩年には立斎と名乗る。
永禄10年(1567年)生まれ(異説あり)、寛永19年(1642年)没。
宗茂の実父は大友宗麟麾下の武将、高橋紹運。義父は戸次道雪。紹運は、豊州三老のひとり吉弘鑑理の次子であるし、戸次道雪(立花道雪とも呼ばれるが、道雪自身は立花姓を名乗ってはない)も豊州三老のひとりだから、宗茂は大友家臣団のサラブレットというか、お坊ちゃまである。
しかも、幼少のころから道雪に見こまれるほど、器量の優れた人物だった。
1589年には、秀吉直臣として、筑後三郡をあたえられる。二十一歳にして柳川城主となる。
1600年の関ヶ原の戦いでは西軍についた。敗戦後、大坂城籠城を説いたが、受け入れられず。
その後、改易されて奥州南郷に領地を与えられるが、1626年に柳川に返り咲いている。

本書は、宗茂が戸次道雪の養嗣子となった1581年、宗茂15歳から、柳川城主となった1587年21歳までの物語である。
この間に、道雪・紹運・統虎(宗茂)は、秋月勢と戦い、龍造寺家晴と戦い、島津勢と戦っている。その他、小競り合いは数知れず。(統虎は城を守るだけで、直接参戦していない戦もあるが)
最大の敵は島津。

物語が終わるまでのわずか6年間に、ふたりの父、戸次道雪と高橋紹運が戦のただなかで死んでいる。

2 高橋紹運
本書で最も印象深かったのは、主人公の統虎ではなく、実父・高橋紹運。
寡兵で岩屋城にたてこもり、全九州制圧をたくらむ島津の猛攻に半月間耐え抜く。
兵力は、高橋勢700に対し、島津30000。差、ありすぎ!
結果として、岩屋城は陥落。城内の兵は、紹運はじめ全て自刃。(享年39歳)
紹運の敗戦なのだが、島津の野望を打ちくだき、甚大な被害を与えることに成功した。
そして、養子に出した統虎の立花城を守ることができた。

統虎の活躍が少なかっただけに、「岩屋城の戦い」は熱かった!
全員討ち死にとわかっている戦にかける紹運と、その配下。
岩屋城から逃げ出す兵はほとんどいなかったという。(滝口氏は、疑問を持ちながら書いている)
統虎は、紹運の真意に気づき、父を救いたいと願っていながら、動くことも、父を立花城に招き、共戦することもできなかった。

3 戸次道雪
豊州三老のひとり。
永正10年生まれ、天正13年没。
武勇(どこまでが実話で、どこまでが伝説なのか)を誇る名将。雷を愛刀千鳥できりさき、その時の傷が元で半身不随になったという。
体が不自由だったのは本当らしく、輿に乗って采配をふるったといわれる。
酒と女色に溺れる主君・大友宗麟のまねをして、宗麟をおびき寄せ、諫言した。
男子に恵まれず、娘・ギン千代(キンは門構えに言)を城主にして、養嗣子・統虎をむかえた。

道雪のエピソードで印象に残ったのは、対龍造寺戦で、敵前逃亡した家臣に対する処断の厳しさ。
実際は逃亡ではなくて、正月になっても、戦が膠着して陣を解かれなかったので、勝手に正月休みをとっていたのだが。
道雪は懲罰隊(!?)を派遣し、里へ帰った者、受け入れた家族を殺させる。

滝口氏は、三杉右京と甲斐源吾という、ふたりの若者を書いている。
甲斐源吾は、里へ帰った無二の親友、三杉右京を討つよう命じられる。
源吾は、右京が逃げることを願って、遅れて里へ入る。
しかし、右京は切腹の覚悟を決めて、源吾を待っていた。源吾に、妻の真砂をめとってくれ、と頼んで死ぬ。真砂は、源吾の妻となることを望まず、「自分の首を道雪に届けてほしい」と源吾に頼む。そして、源吾に首を打たれて死ぬ。
源吾は、約束通り、真砂の首を道雪に届ける。道雪は、夫を殺された女の恨みと向き合うことになる。
鉄の軍律、道雪の怒りの影に、若者とその妻の哀話があったことを、滝口氏は描いている。

4 女たち
時代小説を読むと、女性の扱いのあまりのひどさに萎えることがある。男尊女卑の時代だったこともあろうが、作者の考えが行間からにじみ出でいる気がしてならなかった。
だが、滝口氏は、女性を温かい筆致で書いている。

戦乱の時代ゆえに、薄幸な女性も多かった。
道雪の側室のお色の方、お色の方に仕える小萩、紹運の妻・雲井。
作者は女たちの痛みやつらさに寄りそっている。

雲井と紹運のエピソードは少ないが、心温まる。
嫁ぐ前の雲井は美しかったが、14歳で疱瘡をわずらい、あばたが残ってしまった。雲井の兄が、紹運に破談を申し入れたところ、紹運は「雲井の顔が欲しいのではない。心ばえの美しさが欲しいのだ」と言って、結婚した。

そんな女たちのなかで、勝ち気な美少女ギン千代がかわいい。
統虎に戦いを挑み、簡単に打ち負かされてくやしがるギン千代(かわいい)
統虎にツンツンするギン千代(かわいい)
ギン千代の一生も、幸福とは言えないのだけど。
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2009-05-24(Sun)
 
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