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幕末維新と佐賀藩:読了

幕末維新と佐賀藩/毛利敏彦/中公新書

薩長土肥の四藩のなかで、一番知られていない肥前の佐賀藩。
また、薩摩には西郷隆盛、長州には高杉晋作、土佐には坂本龍馬と、絶大な人気を誇る人物がいるのに、佐賀の人物はあまり知られていない。
本書は、佐賀藩の鍋島閑叟と江藤新平を軸に、明治維新をとらえなおすというもの。

この本は、おもしろくて一気読みしてしまった。
今年の「おもしろかった本個人内ベスト5」に入る。
特に江藤新平については、はるか昔、高校の日本史で学んだことが覆されてしまった。
著者が書いていることは、一学説に過ぎないのか、それとも歴史に葬り去られた真実に近いのか。
江藤新平といえば「佐賀の乱」。
江藤、板垣、後藤らは、征韓論が受け入れられなかったので参議を辞職した。江藤は、佐賀に帰り、不平士族に担がれて乱を起こした。
と、高校では勉強した。

しかし、著者は「佐賀の乱」について、以下のように見ている。
まず、参議を辞職したのは、西郷、板垣、後藤、江藤、副島となっているが、実は、九参議全員がいったん辞表を提出している。しかし、前出の五名の辞表が受理されて、木戸、大隈、大木、大久保の辞表は差し戻されている。しかも、「大久保の個人的感情が露骨に示された辞表の選別処理」p182だったという。
つまり、大久保によって、江藤等は失脚させられたことになる。

政界を去った江藤は、板垣らとともに「民選議院設立の建白書」を左院に提出する。
野に下っても、江藤は大久保にとって油断ならない人物だった。

一方、佐賀の士族のなかには、「多少の興奮状態」もあったが、「佐賀情勢不穏とか緊迫とまでは言えない」状態だった。その上、佐賀に帰った江藤は、「佐賀士族の動きとは一線を画していた」p189 
佐賀でごたごたはあったが、反乱とまではいかないし、江藤も関わりたくないようだったことが、当時の公文書などからわかるという。

しかし、大久保利通に怪文書が渡り、大久保は佐賀への派兵を決定した。「佐賀県当局は、いきなり軍隊に乗りこまれて驚いた。急いで内務本省へ電報を発し、『士族動揺穏やかの模様のところ、鎮台兵蒸気にて若津へ着、かつ福岡より出兵の様子にて、当地市中いずれも荷物片付け、婦女子は逃げ支度にて多そうどうなり』と訴えた。」p198

佐賀は落ち着いていたのに、突如、軍隊が乗りこんできたので、「佐賀の乱」が起こった、というのが真相だった。佐賀の乱後、江藤は捕らえられて死刑になる。
とすれば、江藤を討つために「佐賀の乱」は仕組まれたことになる。
では、「佐賀の乱」の真の黒幕はだれか。著者は、大久保利通という。「大久保の真の狙いは、なりよりも江藤新平抹殺だったように推測せざるを得ない。」p201
大久保をそこまでかりたてたのは何か。著者は、「あえて大胆な想像を許していただけるなら」と前置きして、「江藤に対する強烈な嫉妬心に囚われていたからであるように思われてならない」という。「江藤の溢れるばかりに華麗な才能は、気力実践力には富むが凡才を自覚している大久保の劣等感をかきたてずにはおかなかっただろう」と。P201

では、江藤新平とは、どういった人物なのか。高校では、参議のひとり、「佐賀の乱」の首謀者、「民選議院設立建白書」の提出者としか習わない。
だが、社会情勢を的確に読み取り、果断に改革をやってのけ、近代国家の礎を築いた有能な人物だった。

江藤の主な功績をあげてみると、
① 佐賀藩士時代、脱藩して天下の動勢を探り、佐賀藩主 ・鍋島閑叟に上奏した。江藤は、脱藩の罪で、二年間の蟄居を命じられるが、同時に、閑叟に才能を見いだされる。その後は、閑叟の右腕となる。(江藤は上司に恵まれていた。他藩の某藩主とは違う)
② 国民皆教育体制の基礎を築いた。
③ 民法編纂に着手した。
④ 司法卿として、司法権を行政権から自立させた。
⑤ 「法の支配」「法の前の平等」を打ち立て、人権の礎を築いた。P159
江藤は、「国の富強の元は国民の安堵にあり、安堵の元は国民の位置を正すにあり」として、「国民各人の権利義務を国家の責任で確定し保障することが先決だ、と論じたのである。」p160
⑥ 新聞記者に裁判の傍聴をさせ、情報公開の先駆者となった。

江藤新平は、佐賀藩士の最下層である手明槍の出身である。身分の低さと脱藩の罪にもかかわらず、江藤を見いだし、とりたてた佐嘉藩主・鍋島閑叟の非凡さと度量の大きさも、名君といわれる所以だろう。
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2010-09-05(Sun)
 

博多の豪商:読了

博多の豪商/武野要子/ぱぴるす文庫
博多とは、九州の政令指定都市・福岡市の博多区のことだけでなく、都市部を指して言うこともある。
MORIは九州人なので、博多にはよく行く。新幹線に乗るのは博多駅だし、福岡空港に行くにも博多を通る。
博多に買い物にいくこともある。
交通の要衝だし、ラーメンはうまいし、魅力的な町だ。

中世の博多も魅力的だったに違いない。
何度も戦禍をこうむったが、急速に復興したところに、博多のしたたかさが感じられる。
鎖国前の博多は、貿易が盛んな国際都市だった。(中世のことだから、暗い歴史もあるのだが)
本書は、博多のよさを最大に生かし、時代の波に乗った豪商が取り上げられている。
彼らは、博多の商人としての横のつながりを密接に保ちながら、博多の―ときには中央の―権力者と結びついて、手腕を発揮したり、逆に権力に抗ったりする。
なかでも興味深かったのは、大友宗麟とつながりが深かった島井宗室。
宗室は、宗麟とのつきあいが長かったのに、宗室自身がキリシタンにはなっていないばかりか、「十七条の遺言」で、養子に「キリシタンになってはならない」と強く戒めている。
創業者の苦労が偲ばれる「十七条の遺言」は、子にだけでなく共同体としての博多商人にあてたものだと著者はいう。
宗室は秀吉の朝鮮侵略には反対している。
国際人の宗室にしてみれば、反対するのは当然のことだろう。
2009-11-01(Sun)
 

戦国の合戦:読了

戦国の合戦/小和田哲男/学研新書

戦国時代の戦といえば、
①一対一の戦いは刀で
②従軍しているのは全て兵士
③桶狭間の戦いでは、谷間の今川義元の陣に織田信長が迂回して奇襲攻撃をかけた
④長篠の戦いでは、織田軍の三千挺鉄砲三段撃ちが武田軍の騎馬隊を破った

歴史マニアじゃなかったら、なんとなくこんなふうに思われているかもしれない。

しかし、それらは全部本当ではない。

戦国時代のイメージ的に①や②のように思われることも、実は、
①’ 戦国時代の戦は、槍が主力。刀は主に敵の首をとるために使っていたらしい。
②’「軍勢の圧倒的多数は農民」(p76)だったという記録もある。

また、主な合戦についても、
③’ 桶狭間→「はざま」なので谷ではなく、「おけざま」と「信長公記」にも書いてある。また、迂回せずに義元の陣に突進している。
④’ 「長篠の戦い」は、「長篠・設楽原の戦い」というべきで、織田軍が使用した鉄砲は、三千挺でなく千挺だったかもしれないそうだ。また、「三段撃ち」も見直されている。

というように、これまで通説とされてきたことも、見直されている。

本書は戦国時代の合戦について、動員、戦略・戦術、作法など、わかりやすく解説してある。基礎的な知識は得られるので、入門に最適。
2009-05-10(Sun)
 

信長と石山合戦:読了

信長と石山合戦 中世の信仰と一揆/神田千里/吉川弘文館

織田信長のことを知ったのは、小学六年の時。それ以来、日本史の中で好きな人物No.1だった。
けれども、信長のことを知るにつれて、信長に対する見方はずいぶん変わってきた。
今も好きな歴史上の人物のひとりだけど、信長をあつかった小説や論文を読むと、信長の敵の方に肩入れしてしまう。
それは、石山合戦や長島の大量虐殺、比叡山焼き討ち、越前の殲滅戦という信長の戦争は、どうしても受け入れられないから。
当時の民衆から見た信長はどうだったのか、気になる。
百姓にとって、外敵から領国を守りきる力を持った強い領主として歓迎されていたのか。それとも、大量虐殺者や神を名乗る者として、恐れられていたのか。

信長の残酷な戦争のとらえかたや評価は、歴史ファンや研究者でも様々だし、自分の中でもイロイロ変わってきた。
ただ、自分にはなじめない解釈が、「信長は、比叡山を焼き討ちにしたり、一向宗の信徒を殺戮したりすることで、寺院の武力解除を行い、中世的な宗教観を打ち破った革新者」というもの。
確かに、寺は武力を持っていたけど、当時は、あらゆる階層の人々が武装していたしなー。それに、「対一向一揆戦=寺の武力解除」と、信長の功績のように美化するのは違うぞーと思う。信長は、長島や比叡山に逃げ込んだ非戦闘員も、悉く殺しているから。
自分としては、自ら神を名乗るような専制君主としての信長と、横並びの一味同心の誓いをたてる一揆とは相容れないから、信長は、一向一揆を徹底的に潰したいのかと思っていた。一揆の中心にあるのは、神仏ではなく、信長自身であるべきだろうから。
しかし、神田千里さんによると、ちょっと違うらしい。

本書「信長と石山戦争」は、信長の一向一揆戦を新しい視点でとらえている。
信長の大量虐殺は、倫理やルールに違反した一向一揆に自ら裁きを下し、越前や長島の一向宗には、民を外敵から守るだけの力はないことを世間に知らしめるための政治的なアピールだった。一向一揆や本願寺を壊滅させることが、信長の目的ではなかった、と著者は言う。
著者神田千里さんの主張はすんなり納得できた。結構好きだ。
2008-10-13(Mon)
 

ファンタジーと言葉:読了

ファンタジーと言葉/訳:青木由希子/岩波書店
ファンタジーと言葉 ファンタジーと言葉
アーシュラ・K. ル=グウィン (2006/05)
岩波書店

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本書は、ル=グウィンさんの講演、スピーチ、パフォーマンスの再録とエッセイ集である。
ル=グウィンさんの作品を育んだ土壌とでもいうべき、人類学者と作家を両親に持ち、ネイティブ・アメリカンとともに過ごしたという生い立ち、膨大な読書量、言葉や創作に対する考えと態度、ジェンダー論、信条、感性などが、しばしば断定的に語られる。(訳が?それとも原文が?)

エッセイで読むと直裁的。
やはりストーリー・テーリングの方が、ぴったりくると思う。
2007-07-06(Fri)
 
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